音韻論におけるモーラ(英: mora)は、音節より小さい単位であり、音節量(英語: Syllable weight)を測るのに用いられる。ただし、音節の構成要素とモーラとの対応関係は言語により異なる。日本語においては、モーラは川柳などの韻文のリズムの基本単位であり、日本語話者はすべてのモーラに等しい長さを感じるとされる。(はく)やモラとも呼ばれる。

概要

古典詩における韻律用語であるラテン語の mŏra [ˈmɔra](モラ)の転用(日本語における「モーラ」という表記はラテン語からの借用語の英語の mora [ˈmɔːɹə] からの音訳であり、「モラ」という表記はラテン語からの音訳)。

音韻の構造によって定められる音節とは異なり、各言語内での音長に関する規定に従う。全ての言語が音節をもっているが、音節とは異なるモーラをもつ言語ともたない言語がある。

日本語におけるモーラ

日本語学ではとよく呼ばれる。日本語話者が日本語における音を数える際に、無意識に単位としていることが多くみられる。例えば、日本語定型詩の「七五調」や「五七調」、俳句の「五・七・五」、短歌の「五・七・五・七・七」などは、(しばしば無意識に「文字」などと言われることがあるが)実際にはこの拍を数えたものである。

日本語の多くの方言においても同様である。日本語の仮名1文字が基本的に1拍である。ただし、捨て仮名(「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」「ゃ」「ゅ」「ょ」「ゎ」といった小書きの仮名)は、その前の仮名と一体になって1拍である(たとえば「ちゃ」で1拍。拗音も参照)。一方、長音「ー」、促音「っ」、撥音「ん」は、独立して1拍に数えられる(これが「音節」と異なる主な点である)。音節単位で見るなら、長音は長母音の後半部分を、促音は長子音の前半部分を切り取ったものであり、撥音は音節末鼻音や鼻母音をモーラとしたものといえる(鼻母音は基になる母音+「ん」の2モーラになる)。これらは、「語頭に現れない」「単独で音節を形成しない」「お互いに連続することが稀である」などの性質をもち、二重母音の第二要素も含めて特殊拍(special mora)と呼称される。これらを除いて、単独で音節を形成する拍は自立拍(independent mora)と呼称される。

脚注

関連項目

  • リズム#言語におけるリズム

外部リンク

  • 『モーラ』 - コトバンク
  • 『拍』 - コトバンク
  • 東外大言語モジュール|日本語|発音|実践編| 1 サバイバルのためにこれだけは 1.10.1 拍感覚基礎

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