ハイラエオチャンプサ科(ハイラエオチャンプサか、学名:Hylaeochampsidae)は、ワニ目に近縁と考えられている、ワニ形上目正鰐類に属する基盤的な絶滅した科。
分類
ハイラエオチャンプサ科はチャールズ・ウィリアム・アンドリュースが1913年に設立した科であり、ただ1属ハイラエオチャンプサのみを内包した。しかし、2007年に新属イハルクトスクスが記載され、同属はハイラエオチャンプサの姉妹群と判明し、そのためハイラエオチャンプサ科に分類された。1887年に命名されたヘテロスクスも本科の属である可能性があるが、ハイラエオチャンプサとのシノニムである可能性が高く、ジェームズ・M・クラークとマーク・ノレルは本属を疑問名として扱っている。またクラークとノレルは、ヘテロスクスの化石があまりに断片的で明瞭な系統関係が示唆されないことから、2属が他の正鰐類から区別される真の分岐群であることを示唆する証拠がないことを主張した。第四の属であるピエトラロイアスクスは2011年にハイラエオチャンプサ科に割り当てられた。ピエトラロイアスクスの記載において実施された系統解析は、パキケイロスクスも本科に位置付けている。当該の2011年の研究で、Buscalioni et al. はハイラエオチャンプサ科を分岐学的に定義した。その定義とは、Hylaeochampsa vectiana、Iharkutosuchus makadii、Pachycheilosuchus trinquei および Pietraroiasuchus ormezzanoi の最も近い共通祖先とその全ての子孫からなるノード(節)ベースの分類群である。
以下のクラドグラムは Buscalioni et al., 2011 に基づく。
記載と分布
ハイラエオチャンプサ科は白亜紀の間に現在におけるヨーロッパと中東地域に生息していた。ハイラエオチャンプサおよびそのシノニムの可能性があるヘテロスクスはイングランドのワイト島ヴェクティス層で産出しており、その地質時代は前期白亜紀のバレミアン期である。イハルクトスクスの標本はハンガリー西部のCsehbánya層から発見されており、地質時代は後期白亜紀のサントニアン期である。ハイラエオチャンプサ科の属はいずれも吻部が短く、かつ異歯性を示しており、食物を噛み潰すことに適した可能性の高い大型の歯が後側に集中している。イハルクトスクスにおいては、これらの歯には複数の咬頭までもが存在する。これは哺乳類によく見られる一方でワニ形上目には珍しい特徴であり、また当該の動物が植物食であったことが示唆されている。
出典




